心のサークル(blog版)

心のサークルは、スピリチュアリズムを学べますが、オープンな初心者向です。

「幽界訪問記」講演会抄録

 平成30年一般財団法人福来心理学研究所第4回定例会を11月10日(土)に幽界訪問記という演題で、開催いたしました。その時の抄録を以下に転載します。


 

 27年度及び28年度例会において垣間見た死後世界という演題で、お話しましたが、今回、これをまとめた形で創栄社から出版 致しました。「死んでも死なない~肉体が無くなっても魂は、永遠に生きる・幽界訪問記108話~」というタイトルで、30年8月から販売されています。本書は、夢日記のようなものなのですが、ここで扱ったのは、いわゆる明晰夢と言われるものです。特に明晰夢下では、体外離脱(幽体離脱に同じ。)が起り易いと言われ、ヘミシンクのように幽界という死後世界の体験も可能です。

 今回、私としては、これらの夢体験に対して、通常行うような心理学的分析ではなく、スピリチュアリズム的分析を行い、一般の方にスピリチュアリズムというものを理解していただきたいという意図が、あります。また、もう一つの意図は、この体験記は、私が長年信奉しているスピリチュアリズム的解釈の下に読者に死後世界を疑似体験してもらいたいと考えております。

 まず、ご存じない方のためにヘミシンクスピリチュアリズムそしてスピリチュアリズムから得られた死後世界の真相について少し解説してから、本書の幽界訪問記について述べさせていただきます。

                                                                

(1)ヘミシンクとは?

 ヘミシンクとは、ヘミスフェリック・シンクロナイゼーション(半脳同期)の略です。分り易く述べれば、ヘッドホンを使って、左右の耳に若干振動数の異なる音を聞かせる。その時に、脳幹でその差に相当する信号(耳では聞こえない信号)が作られ、左脳と右脳が同調するというものです。

 4ヘルツ前後の脳波領域では、体外離脱、過去世体験、未来世体験、死後世界体験、ガイドとの遭遇等の体験ができます。たとえば、4〜8ヘルツは、シータ波に相当し、瞑想状態の時に出現します。ヘミシンクは聴く人を瞑想状態のような変性意識に導くことができます。また、ヘミシンクでは、意識の分離状態をフォーカスと名付け、数字が上がると意識の分離状態が深くなります。

 「スピリチュアリズム」とは、「心霊主義」と訳されます。人間の死後の霊魂の存在やその科学的根拠を信じることを意味します。本来は、「霊的に浄化する」という意味の「スピリチュアライズ」(Spiritualize)に由来するので、ここでは、スピリチュアリズムのまま用いています。関連団体として、日本には財団法人日本心霊科学協会日本スピリチュアリスト協会等があります。

 スピリチュアリズムは、霊界からのチャネリング(霊界通信)から得られた霊的真理を説いています。世界三大霊訓と言われる「シルバー・バーチの霊訓」「モーゼスの霊訓」「アラン・カルディックの霊」等を思想的背景とします。

  • 幽界の真相

 近代スピリチュアリズムにおける死後世界の分類を述べます。現在の心霊学的に見た死後世界の分類では、コナン・ドイルの分類を参考にすることが一般的です。地上に近い方から、アストラル界(幽界)、メンタル界(霊界)、セレスチャル界(神界)に別れます。特にアストラル界(幽界)について述べますと、地上界の次に位置し、中間帯、ブルーアイランド、地球圏最高界と大まかに別れます。
 ヘミシンクでいう死者の意識と対比すると、フォーカス26までが、幽界中間帯、フォーカス27からブルーアイランド、フォーカス35から上が霊界ということになると個人的には思われます。

 幽界以下を虚相の世界、霊界以上を実相の世界として、シルバー・バーチは、霊界こそが、実像だとしています。

  • 幽界訪問記

 幽界の世界で、起きること、見られること等を述べてみます。特に幽界下層は、地上に非常に良く似た世界で、自分が死んでいることを自覚していないと、生きているように錯覚してしまう世界です。しかしながら、スピリチュアリズム的視点で観察するとその違いを理解できます。項目別に述べてみます。

1)食堂

 死後、最も関心のあるのは、食べる事ではないかと思います。肉体がないので、自然と食べなくなる、あるいは、食べる必要が無くなるようですが、地上での習慣が染み付いているので、食に関係するものに執着するようです。たとえば、食堂や料理店もその一つ。食べるというのは、肉体を持った人間としては、最大の欲であり、楽しみと言えるでしょう。

2)ホテル

 食の次は、肉体を休めるために、寝る場所が想い浮かびます。もちろん、幽界では、肉体が無いので、寝る必要も無いし、眠くはならないようです。そういう意味では、人間の本体である霊体は、不眠不休です。ホテルや旅館は、自宅と違って、旅の目的の一つとして期待感を持って訪れます。いろいろなホテルや旅館があり、食だけでなく、温泉があったり、施設として様々な工夫が凝らされています。

3)病院

 人間にとって、病気との戦いは、死ぬまで続きます。そのために、地上においては、病院や診療所の存在は、欠かせません。通常は、死後、肉体を失っても、ショックを和らげる措置として、一時的に意識の眠りに入るため、幽界においても治療の場として、病院や診療所が、存在し、多くのヘルパー(救助霊)が、待機しています。しかし、医療従事者が、亡くなった場合、病院の形態や内容は、生前からの意識の状態が、反映されてしまいます。表向きは、良心的な医師を装っていても幽界では、本性が出てしまいます。本人の最も強い意識が出ると言ってもよいでしょう。また、幽界は、とても広い世界なので、いろいろな診療所や病院が存在します。

4)マラソン

 趣味や癖は、あの世に持ち越される事が多いです。私の場合は、きっと幽界でもマラソンをしているでしょう。昨今の日本でのマラソンブームは、多くの幽界人にも反映されているでしょう。むしろ、地上は、幽界の影絵と言われるので、向こうこそマラソンブームかもしれません。マラソン好きは、マラソン好きの世界へ体外離脱して生前から行くでしょう。マラソン好きのあなたは、今晩も夢の中でマラソン大会に参加しているかもしれないのです。

5)幽界下層

 ここは、地上にもっとも近接した幽界です。そのために、幽界上層と比べると波動が、地上のように鈍重で低い世界だと言えます。ここで暮らす霊人達の意識は、低級であり、囚われていることが多い。死の自覚を持たず、何かに執着して、一人で孤独に暮らすか、更には、自殺者のように漆黒の世界に自分を閉じ込めて長年月をそこで苦しむ人たち。あるいは、戦争で同時に死んだ兵士たちのように集団で今も戦いを続けているような世界です。はたまた、ある宗教の信者達だけで作る疑似天国のような信念体系領域もあります。

 幽界の上に存在する霊界のような本来の戻るべき世界を知らぬまま、そこに居心地の良さを見いだして暮らしています。しかし、ひとたび、その世界に疑問を抱くようなことが起きると、周囲にいるガイド達やヘルパー達に気が付き、彼らの助けを得て、この世界から脱却することができます。

6)家

 地上界で暮らしていた家は、幽界でも欠かせないようです。幽界人は、眠ったり、食べたりすることが徐々になくなっていきます。このため、地上的な家としては、外観は、美しい理想的な建物が多いですが、居場所としては、シンプルなものになります。意識の世界なので、その人に生きた時代や好みが反映されます。

7)ツーリング

 ツーリングもまた私の青春時代に凝った趣味の世界ですが、やはりバイクは、人生で一番輝いていた時代の思い出の道具です。バイクで旅行した時が、特に印象深く昔のページを開き返すことができます。しかし、やはり幽界は、地上に良く似た錯覚するような世界ではありますが、地上とは、何か違うところがあることも地上人として気が付いていたい。たとえば、幽界人達が、死の自覚があるかどうかが大きく影響します。

8)学校

 私は、小学校から通算すれば、大学は、10年いたので、22年お世話になったことになります。この間、昔は、土曜日も半日授業があったので、祝祭日以外は、一番長く過した場所と言えるかもしれません。幽界にも多数の学校があり、いろいろなケースに対応しています。たとえば、若くして死に今生で学び切れなかった学習をさせてくれる場所もあります。地上のように、教育だけでなく、研究の場としても欠かせん。そこには、ちゃんと先生役のヘルパー達がいます。学校や研究室の形態も彼らが、暮らした時代に応じて、多種多様のようです。

9)治療

 幽界には、医師団がいて地上人の治療に対して多大な影響を及ぼしています。特に地上人は、睡眠中にその恩恵に預かっていることが多い。よく病気は、夜寝ながら治るといますが、まさにそれです。医療系の研究施設では、ガイドとして守護霊や指導霊がいて、特に指導霊は、職業に関係すると言われます。さしずめ、私は、歯科医師なので、既に亡くなって幽界や霊界にいる歯科医師あるいは医師が、背後から援助してくれている可能性が大いにあります。更に私は、気診という気功術を施術するので、亡くなった気功家や整体師も手伝ってくれていると思われます。生前の職業を利用して他人を助けようとする利他愛に燃えるヘルパー達もたくさんいます。もちろん医療系の研究所もたくさんあり、地上に応用できる治療法を研究しています。新しい治療法が見つかると頭に突然浮かぶインスピレーションや夢の中で情報を送ってくれるようです。

10)観光

 地上界と同じように地上を観光することはもちろんできますが、幽界の観光地もたくさんあり、そこを訪れることもできます。外国人は、やはり外国人同士で集まり、しばらく生活しているので、そういった異国の観光もできます。特殊な遊技場や動物園などももちろんあり、たくさんの人が集まっています。地上時代に行けなかった常夏の国や南国のパラダイスももちろん経験できます。私も死後、あちらの世界に行く時は、肉体から自由になりどこへでも行けるので、地上も含め、いろいろ見て回りたいと思っています。

11)震災

 私は、今回の東日本大震災の被災者でもあります。診療所は、海から1キロのところにあり、全壊してしまいました。幸い、この地域には、4メートルの堤防があったため、海から来た7メートルの津波に何らかの抵抗を示し、多くの建物が、残ることができました。私の家も建物が残り、一階の診療所は、全壊でしたが、二階の自宅は、大丈夫でした。このため、震災後約1年後に改修して住んでいます。ただ、人口も半減してしまいましたが、私が校医をしている小学校や中学校は、4年目に再開しました。地域の復興に医療は、不可欠です。震災後は、無医村化した被災地が多い中、約5年後、診療所も自宅の隣に新築して、再開することができました。

 さて、震災で約2万人の方が、亡くなられてわけですが、震災後7年以上経過した現在、多くの方々が、地上を離れ幽界におられると思われます。そもそも幽界は、一次休憩所のようなところで、肉体の死に対するショックアブソーバー的な役割を果たしています。震災直後は、死の自覚が無く、混乱した意識状態の方が、多いと感じられましたが、徐々に回復して落ち着いてこられているようです。

12)教訓

 地上生活で不足した部分を補う教育係もいます。これもガイドやヘルパーの仕事です。一方で、幽界での生活は、地上の垢を落とす癒しの場としての役目もあるので、徐々に地上での生活を思い出しながら、いろいろと反省させられるでしょう。意識だけの世界であるので、自分が最も暮らし易い場所を選ぶことができます。二度と艱難辛苦の地上になどに戻りたくないと、ここに来て間もない頃は、多くが、そう思うらしいですが、徐々にまた地上での生活が懐かしくなり、地上に戻りたくなるようです。地球人は、輪廻転生のサイクルからなかなか脱却できません。カルマの問題もありますが、様々な教訓を学びながらも、いろいろな執着がそれをさせます。

13)幽界上層

 私の経験では、幽界上層は、実に美しい世界です。スピリチュアリズムでは、地上は、霊界の影絵にしか過ぎないと言われますが、筆舌に尽くしがたい世界とは、ここのことを言うのでしょう。癒しの世界ですので、やりたいことが、何でもかないます。そのため、いつか飽きる時が来ます。それが、次の世界へ旅経つ時です。地上へ戻るか、上の世界である霊界に行くか。すべては、自分で決めることになります。それまで、思う存分楽しんでいただきたいと思います。幽界は、かつては、精霊界と言われました。あくまでも精霊界は、霊界への中間帯でしたが、近年人の意識の唯物化に伴って、多くの人の意識が長くここに囚われしまい、拡大して行った中継基地であると言えます。少なくとも、死後スムーズに幽界上層へ行きたいものです。

14)宗教

 地上の宗教を信ずる者は、死後、囚われの世界である信念体系領域に陥る可能性が高いようです。ここでは、教祖を中心としたピラミッド形の階級世界を形成します。世界は、自分の宗教で統一されたと錯覚するような疑似天国です。他の世界から隔絶した信者だけの世界なので、多くの信者は、居心地の良い安住の世界だと思うでしょう。やがて、教義に矛盾あるいは疑念を感じて、この世界から旅経ちたいと思う者が出て来ます。しかし、宗教団体から脱会する難しさは、これを妨害しようとする信者の抵抗等のため、地上の比ではない場合もあるようです。地上にいる時に宗教の持つドグマに陥らぬことです。常に内なる神である理性に従い、疑ってかかる姿勢が大切であると思います。

15)過去世

 幽界に来ると、意識が何かに囚われていなければ、自分の関連する過去をすべて思い出すそうですが、類魂説に従うと、潜在意識の中に閉じ込められている大いなる自分を自覚するようになるそうです。厳密な意味で言えば、過去世は、地上で言う所の個性を持った自分では無く、つまり、自分の類魂が経験するとスピリチュアリズムでは、言われています。ただ、広義で言えば、自分の過去世ということになるかもしれません。地上は、修行の場であるので、職業だけでなく、家族でも親子とか立場が逆転したり、いろいろな経験があるはずです。

 16)高所恐怖

 高所恐怖症に限らず、海が怖いとか、理由も無く極端な恐怖を感じるのは、どうも過去世が関係している場合が、あるようです。私は、ヘミシンクのワーク中に何度かその場面を見せられました。過去世の中で、高所恐怖は、高い所から落ちて死んだり、海の場合は、南方の島で、津波で溺れて死んだとか、そういった致命傷になった体験があるようでした。もちろんスピリチュアリズム的に言えば、自分の体験というよりも類魂の体験を共有していると考えられます。幽界では、肉体から解放されるので、潜在意識にある恐怖や不安の感情(マインド)を取り去ってくれるような癒しの体験ができるようです。

 17)幽界の人々

 幽界には、いろいろな世界があるようにいろいろな意識を持った住人がいます。地上的思考から離れられていない場合が、多いので、意識が囚われています。もちろん地上人も夜な夜なそこを訪れて会話をしたりしているわけですが、目覚めると忘れてしまいます。地上の友人同士で会話することもあるし、見知らぬ外国人とも会話できます。不慮の事故や災害で死んだ人も当然訪れます。現幽交通は、実は、頻繁に行われていますが、忘れるか、目に見えないので、気が付かないだけなのです。親しかった故人にも会えます。やがて、幽界の住人もその思い出深き幽界を離れる時が、必ずやって来ます。

                           (文責 上原 忍)